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「教具」がなくてもゆるくできるおうちモンテッソーリとは?

教具で子どもが「賢く」なるわけじゃない

更新日:

菅原 陵子
モンテッソーリ・ホームレッスン代表

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おうちモンテに「教具」がいらないのはなぜ?

モンテッソーリ教育に興味はあるけど、よくわからない。

モンテッソーリ教育に惹かれているのに、近くにモンテッソーリ園などの施設がない。スクールだと「なんちゃって」に見えるけど、どうなんだろう...?

なんて思っていませんか?

あるいは、スクールや園があるなら通わせてみたいけど、お金がかかりそう...。

おうちでやってみたいけど、家が狭くて場所がない。

一度やってみたけど、ハードルが高かった!

うちの子には合わないと思っている...でしょうか?

あなたのお子さんは、何歳ですか?

モンテッソーリ教育は幼児期だけ?

いえいえ、10歳までなら、まだ間に合います。

ここではモンテッソーリ教育に惹かれているすべての方の自分らしい育児ができる「おうちゆるモンテッソーリ」のご紹介をします。

「教具」って、なんですか?

モンテッソーリ教育には、教具と呼ばれる道具があります。

とくに幼児の教具は、家で日常に使うようなものから、知育のオモチャに見えるもの、あるいは「算数や国語って、こうやって教えるのか」といったものまで、数にして100以上にもなります。

モノがあると、それで子どもを「賢くできる」ような気がして、安心しますよね。でも、「家に教具がないから」 モンテッソーリができない。

教具を1つ2つ買ってみたり、SNSで真似っこして作ってみたけど、子どもがしない......と悩む方もたくさんいます。

でも、みなさん、ちょっと勘違いしています。

おうちモンテは教具がなくても大丈夫!

そもそも、一番大切なのは「子どもが そのときやりたいことを、繰り返しできるようになっているか」なんです。

教具はあってもなくてもいい

教具を使っても使わなくても、おうちモンテのゴールは、親子だからこそできることや、得られるものを大切にすること。親子で一緒に育つことです。

子どもの人生の中で、おうちの役割は教育だけではありません。そして、仕事のようにタスクを積み上げていく「カッチリ」が人を作るわけでもありません。

親子で泣いたり笑ったり、あれこれ試行錯誤しながら、「知育」と「しつけ」と「家族のコミュニケーション」が混じり合うのが家族の暮らし。それを豊かに、子どもにとってベストなものにしていくのがおうちモンテッソーリです。

おうちモンテに教具がいらないのはなぜ?

突然ですが、私が「おうちモンテに教具は必要ない」と考える一 番の理由なんだと思いますか?それは、「せっかく(しかも高いお金を出して)買ったんだから.........」 と親が考えてしまいがちだからです。

そうなると、やらない子どもにヤキモキしたり、この子にモンテは向かないのかと思ったりして、ついつい教具に子どもを合わせたくなってしまう。実際、そんなお話もよく伺います。

繰り返しますが、教具がなくても大丈夫。「子どものやりたいこと」は、日常生活のなかにたくさんあるからです。

これは、私の教室に通う1歳の男の子のママさんの話。

昨日、息子が皮をむいたみかんを食べずにぎゅーっとつぶして、果汁をしぼり出していました。

握りつぶしてみたいのかな?と思って、汁がボウルにたまるようにしてそのまま見ていたのですが、家にあったみかんを全部しぼってその日は終わりました。

またやるかなと思い、新しくみかんを買ったのですが、次の日に新しいみかんを見ても、もうやりたがりませんでした。

みかんを手でにぎりつぶすことも、汁がたれるのも、ご家庭によっては止めたくなる気持ちもあると思います。

でも、1歳児は、そもそも握る力をつけたかったり、つぶれていくみかんの柔らかさや、そこから汁が出ること、そして汁そのものの香りを「不思議」で「楽しい」こととして感じています。つまり、体と五感を使ってみかんの世界を知っている最中なのです。

親にできる最高の環境の整え方

Oさんのお子さんは、Oさんが止めなかったことで十分にそれを 堪能することができました。そして満たされたからこそ、次の日はしなかった。とも考えられます。

もちろん、汚れるとか、もったいないという理由で子どもの行動を止めることもできます。でも、止めないことでみかんを握ったときの甘酸っぱいにおい、ベタベタする感じ、あるいは絞った汁の色、 もったいないからためておいてジュースとして飲むことなど、止めたときと比べて何倍もの体感を得ることができますよね。

そして体感と一緒に、親子の会話が生まれます。親子の会話が多ければ多いほど、子どもの五感と記憶に経験として刻まれていきます。

これがのちのちいろんな知識や発想につながっていくことは、脳科学などでも言われています。

ときどき、「子どもに好きなことを全部させているのに、イライラしてしまう」という方もいますが、全部でなくても「親が自分の感覚で許せるもの」はさせてみる。

そして、許せるものを少しずつ増やしていく。それは、親にできる最高の環境の整え方です。

ちょっとしたヒントを出してあげること、感想や気づいたことなどを親子で一緒に話してみるだけで大丈夫。 教具がなくても、十分に子どもの世界は広がります。

PROFILE

モンテッソーリ・ホームレッスン代表。

菅原陵子

モンテッソーリ教師、カウンセラーで2児の母。
出版社の編集者として子育てをする中で、モンテッソーリ教育に出合う。「知ることで、育児はぐっと楽になる」をモットーに、理屈ではなく「親が365日おうちで使える」モンテッソーリを提唱している。
講演・講座は常時満席。キャリア・子育て、自分の生き方などの転換期となる子育て世代に対し、すべての悩みを不安からでなく、「自分が本当にしたいこと」からできるようになる講座やワークを提唱。
そのわかりやすさと変化には、モンテッソーリの先生も通うほど定評がある。
趣味は学ぶこと(年間200時間以上)、読書(年間1000冊)、ものづくり。夢は子育てをきっかけに、親子で自分らしく生きる世界を当たり前にすること。

「世界一やさしい おうちゆるモンテッソーリ」

著者名
菅原 陵子
出版社
 実務教育出版

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