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モンテッソーリ教育を無理なく続けるおうち環境

2万組の親子が実践してきた「おうちモンテッソーリ」とは?

更新日:

菅原 陵子
モンテッソーリ・ホームレッスン代表

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親子で始めるゆるモンテッソーリ

モンテッソーリ教育に興味はあるけど、よくわからない。

モンテッソーリ教育に惹かれているのに、近くにモンテッソーリ園などの施設がない。

スクールだと「なんちゃって」に見えるけど、どうなんだろう...?

なんて思っていませんか?

あるいは、スクールや園があるなら通わせてみたいけど、お金がかかりそう...。

おうちでやってみたいけど、家が狭くて場所がない。

一度やってみたけど、ハードルが高かった!

うちの子には合わないと思っている...でしょうか?

あなたのお子さんは、何歳ですか?

モンテッソーリ教育は幼児期だけ?

いえいえ、10歳までなら、まだ間に合います。

ここではモンテッソーリ教育に惹かれているすべての方の自分らしい育児ができる「おうちゆるモンテッソーリ」のご紹介をします。

モンテッソーリ教育って?

モンテッソーリ教育は、今から100年以上前の20世紀初め、イタリア・ローマの精神科医マリア・モンテッソーリさんが始めた教育方法です。

始めは貧困層の子どもたちを対象にした保育施設で発展していきました。

この、それまでになかった斬新でロジカルな教育方法はあっという間にヨーロッパとアメリカに広まり、今ではAmazonやGoogleの創始者などが受けていたことから「21世紀の創業的事業はモンテッソーリが教育が作った」など評されています。

日本に入ってきたのは1960年代のこと。

棋士の藤井聡太さんが幼少期に受けていたことで、この数年の間に広く知られるようになってきました。

モンテッソーリ教育で着目するのは、「子どもの育つ力」です。

子どもは生まれてすぐのころから、そのときの自分が「快い(こころよい)」と感じることを繰り返ししようとします。

満足するまで繰り返すと落ち着き、その活動にチャレンジしたり最後までやって「満たされた」と感じることで自信を持ったり自立すると言われています。

この「快い、繰り返したいこと」は大人から見ると、どうして何度もこんなことをするのか?とか、一つのことに時間をかけすぎていて要領が悪いな...と感じることもありますが、「子どもにとって」は大事な行為や時間です。だから、しっかり大人がサポートする。幼児期のモンテッソーリ教育は、子どもが体を動かしながらていねいなステップを踏み、学ぶように体系化されています。

「環境」を正しく知っておうちで生かす

拙著「世界一やさしいおうちゆるモンテッソーリ」などにまとめていますがモンテッソーリ教育において環境を整えるということは重要なポイントになります。

モンテッソーリ教育でいう「環境」とは、子どもが見て、聞いて、触れる世界すべてのことをさします。子どもは、自分のまわりの環境にあるもの全部を受け取って大きくなるからです。ここで忘れないでほしいのは「子どもにとっては大人も環境の一つ」ということ。

教具や道具あるいは何かしてあげることを指すように思われがちですが、「自分以外の人・ものすべて」なのです。中でも特に影響するのは、学校でも先生でもなく親御さんとの暮らし方。そして一般的には、子どもと一緒にいる時間の長い「お母さん」が一番影響力を持ちます。

具体的になにをする・したというよりは、「一人の人としてのあり方」のすべてが子どもに伝わっていきます。だから、習い事やおもちゃなど物理的な環境を整えるだけではなく、「いい親になろう」とがんばりすぎるのでもなく、家族にとってのベストを探していきましょう。繰り返しになりますが「がんばりすぎなくて大丈夫」ですよ。

大切なのは「環境」の本質

それでは「環境」の本質的なところを見ていきましょう。

子育ての環境というと、子どもに何を与えるか・してあげるかと考えがちですが、マリアさんは「子どもは大人が言ったことをするのではなく、大人が見せたもの・聞かせたものの真似をする」と考えました。

つまり、「いつもなにげなく親がしていること=あり方」が子どもに与える影響はとても大きいということです。

それではこれからおうちモンテッソーリの環境について話していきます。

おうちモンテッソーリでは、教育施設のように特別なモノや環境は必要ありません。

むしろ、日々の暮らしの中で、どれだけ子どもと自分がムリなくできるかが大切。

なぜならおうちは、すべてが子ども向けに作られた教育施設と違い、大人と子どもが一緒に生活する場所だからです。

親子のどちらかが合わせすぎることなく、「お互いに大事にし合う」ことがポイント。一緒にやっていくという意識が、親子の距離感と子どもの自主性、自立を育んでいきます。

狭くてものが多くてもおうちモンテはできる

「おうちモンテッソーリ」と称して、子どものモノだけを置く棚や、子供部屋の写真をインスタグラムなどにアップされている方がたくさんいます。

でも、それらの写真をよく見ると、子どもの年齢=敏感期(子どもが特定の行動にこだわり、大人が止めても繰り返しするモンテッソーリ教育で大切にしている時期)に合うものではなく、単に親が「おしゃれだな」と思っているものを並べているだけ、ということもよくあるのです。

あるいは、モンテッソーリ教師の方がお書きになった本に「棚や子どものスペースが大事」と書かれているのを見て、家が狭いからとか、片付いていないからと、おうちモンテッソーリにハードルを感じる親御さんも多いようです。

でも、もっと気軽に考えて大丈夫。セオリーはありますが、そのセオリーの使い方が大事なだけ。

おうちモンテでは必ずこれがなくてはダメ、はありません。極端な話、スペースなら座布団一枚あれば大丈夫。

お部屋作りについても「棚なんて作れない...」と悩むより、「子どもが自分でできる工夫」をすることをクセづける方がずっと大事。

おうちモンテッソーリを無理なく続けるためには、部屋がおしゃれか、広いか、片付いているかなどより、次の3つがポイント。

①子どもが自立するためのサポートになっているか

②子どもの時間と場所が守られているか

③大人も無理なく暮らせる環境か

一緒に暮らすなかで、子どもだけを優先すると大人が苦しくなるし、大人だけを優先すると子どもが大変になります。

大人に振り回されたり、子どもが自分でできないために結局大人の手が必要になると、大人も負担に感じます。

だからこそ、「うちの暮らし」の中で折り合うところを見つける。それで十分なのです。

PROFILE

モンテッソーリ・ホームレッスン代表。

菅原陵子

モンテッソーリ教師、カウンセラーで2児の母。
出版社の編集者として子育てをする中で、モンテッソーリ教育に出合う。「知ることで、育児はぐっと楽になる」をモットーに、理屈ではなく「親が365日おうちで使える」モンテッソーリを提唱している。
講演・講座は常時満席。キャリア・子育て、自分の生き方などの転換期となる子育て世代に対し、すべての悩みを不安からでなく、「自分が本当にしたいこと」からできるようになる講座やワークを提唱。
そのわかりやすさと変化には、モンテッソーリの先生も通うほど定評がある。
趣味は学ぶこと(年間200時間以上)、読書(年間1000冊)、ものづくり。夢は子育てをきっかけに、親子で自分らしく生きる世界を当たり前にすること。

「世界一やさしい おうちゆるモンテッソーリ」

著者名
菅原 陵子
出版社
 実務教育出版

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