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専門家が教える「家庭でのゲーム使用ルールを作るコツ」

子どもがスマホやゲームをやり過ぎて、学業成績や健康面が心配、依存症ではないかと心配という親のために、予防や回復のための関わり方をわかりやすく紹介します。

更新日:

森山 沙耶
ネット・ゲーム依存症専門の予防・回復支援サービスMIRAI-i(ミライ)所長。公認心理師、臨床心理士、社会福祉士。

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専門家が教える「家庭でのゲーム使用ルールを作るコツ」

家庭での使用ルールを作るコツ

厳しすぎるルールは効果的ではない

さまざまな研究で、ゲームに対する否定的な親の態度や一方的で厳しい制限は効果的ではないことがわかっています。

カウンセリングでも、親が子どもの意向を聞かずに極端に厳しいルールを決めていたり、覚えられないくらいの細かなルールをたくさん決めていたりすると、子どもは納得できずに反発する結果、親に隠れてネットやゲームをするという状況に出会います。

親としては心配に思う気持ちからルールを作ろうとするのですが、功を奏せず落胆するという悪循環になってしまいます。

親子で一緒に落としどころを見つける

ルールを作るうえで大切なことは「親子で一緒に決める」ということです。

その際にお互いの意見を聞きながら、落としどころを見つけて子どもの合意を得ることを目指します。

ネットやゲームの使用状況の記録を見ながら話すことで、子どもを責めたり、批判したりせずに、ほどよい使用時間や時間帯を探ることができます。

子どもの気持ち・考えを傾聴する

話し合う際は、親の意見や考えはいったん脇に置いてください。

まずは子ども自身がどう考えているのか、どうしたいと思っているのかを聞いてみてください。

これは小学生でも中・高生でも同じです。

親に自分の考えを尊重されているという感覚が、その後の話し合いをスムーズにします。

また、子どもが話してくれたら「そんなのダメに決まってるよ」とか「それは無理だよ」と真っ先に否定するのではなく、「そう考えてるんだね」「教えてくれてありがとう」などと十分に受け止める言葉をかけます。

子どもの考えを聞いたうえで、親はこう思っていると穏やかに伝えます。

視力や勉強のことなど具体的にどういうことを心配に思っているか、それに関する資料があれば、見せながら伝えるとよいでしょう。

子どもが現実的に達成可能なレベルに

こうしたお互いの考えを出し合って、実際にルールを決めていきます。

ルールを作ったら、それが、現実的に子どもができそうなレベルのものか確認してください。

また「~しない」ではなく「~する」という肯定文にすると行動しやすくなります。

視覚化する

決めたルールは大抵すぐに忘れます。

またゲームを始めると夢中になって忘れることもあります。

そのため、すぐに確認できるよう紙に書き出すなどして視覚化しておきましょう。

そうすることで、親も何回も繰り返し注意することも防げます。

PROFILE

ネット・ゲーム依存症専門の予防・回復支援サービスMIRA-i(ミライ)所長。公認心理師、臨床心理士、社会福祉士。

森山沙耶

2児の母。2012年、東京学芸大学大学院教育学研究科修了。
家庭裁判所調査官を経て、病院・福祉施設にて臨床心理士として勤務。
2019年、株式会社KENZANにてMIRA-i(ミライ)を立ち上げる。
ネット・ゲーム依存の大人から子どもまでの当事者、その家族に対するカウンセリングと、予防啓発のための講演、執筆活動を行う。
「インターネットと健康的に付き合う」ことを目指して心理臨床と研究に励む。

「専門家が親に教える 子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド」

著者名
森山 沙耶
出版社
 Gakken

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