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今さら人に聞けない月経の基本

月経を正しく学ぶと子どもは自立する! 金メダリストなどもサポートしてきた著者が、 誰でも今すぐできる「月経教育」の始め方を伝授。

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鈴木 なつ未
拓植大学国際学部准教授。筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻修了。博士(スポーツ医学)。

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金メダリストをサポートしてきた著者が伝える「今さら人に聞けない月経の基本」

今さら人に聞けない月経の基本

月経痛は若年から、PMSは成長につれ現れる人が多いです

一般的に、月経痛は、初経を迎えた若い年代から症状が出ることが多いようです。

一方、PMSは、大人になるにつれて症状が出る人が多いです。

そのため、月経教育の現場では、月経痛は理解できてもPMSは分からないという子が多いというのが私の実感です。

「今症状がなくても、いつかは経験する可能性がある」ということを伝え、しっかり自分事にさせることを意識するとよいでしょう。

女性で自分も経験があるという場合は、自分の症状を思い出し、経験を交えて話すと効果的です。

子どもは現実感をもって捉えられ、理解しやすいはずです。

男性の場合は、家族やパートナーの月経前や月経中の様子を思い出してみると分かりやすいかもしれません。「横で見ていてもつらそうだ」ということを伝えると、子どもも理解しやすいでしょう。

「はじめに」や第1章で少し述べましたが、私自身もPMSの症状がひどく、苦しんだ経験があります。

PMSの症状が出る時期は、自分でも分かるほどイライラがひどく、人と食事にいかないようにしていたほどです。

説明したように症状は様々ですが、どれも自分ではコントロールができず、「どうすることもできない苦しさ」があるものです。

しかし、症状が出ても「これはPMSだ」と分かれば、自己嫌悪せず、落ち込まなくても済みます。

知識があれば、無駄な不安を抱かずによくなるのです。

これも月経教育の1つの成果です。

月経随伴症状がつらい場合は、ためらわずに受診しましょう

月経痛もPMSも、日常生活に支障をきたすほど症状がひどい場合は、「月経異常」に含まれ、治療が必要です。

しかし、どちらも現れる症状は個人差が大きく、数値などで他人と比較できるものでもありません。

多少の痛みや異変を感じても、「毎月のことだから」と自分で判断し、放っておきがちです。

しかし、怪我や病気をした時には病院に行って専門の医師の診断を受けようと思うはずです。

同じように、月経異常もすぐに婦人科に相談していただきたいと思います。

なお、今でもすぐにできるPMSの対処として、私は以下をおすすめします。

・バランスのよい食事をとる(ビタミン、ミネラル、カルシウムを意識して、鉄分も忘れずに)塩分、カフェインは控えめにする

・身体を冷やさないようにする(できれば入浴時は、浴槽に浸かって身体を温める)

・ゆったりとした服装を心がける

リラックスして、睡眠を十分にとる

ホルモンバランスを整えるための市販薬やサプリメントを使うという人もいますが、スポーツをやっている子どもには、安易にはおすすめできません。

薬を服用する場合には、やはりためらわずに一度は婦人科を受診し、確実にドーピングにならないものを処方していただく必要があります。

PROFILE

拓植大学国際学部准教授。筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻修了。博士(スポーツ医学)。

鈴木なつ未

(独)日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター、筑波大学Research&Developmentコア、(公財)日本スポーツ協会で研究員として、長年にわたりトップアスリートのコンディショニングに関する研究やサポート等に従事。
2021年に拓殖大学へ。(公財)日本オリンピック委員会強化スタッフ、(公財)日本スケート連盟スピードスケート科学スタッフ、(公財)全日本柔道連盟科学研究部員等を務め、2008年北京、2012年ロンドン五輪では、スタッフとして現地で活動。
ジュニアからトップまで、これまで数多くの女性アスリートの月経に関するサポート活動をおこなってきた。

「真剣に生理の話をしよう 子どもの自立につながる月経教育」

著者名
鈴木 なつ未
出版社
 時事通信社

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