LDの子が見つけた「姿勢を保つ」ことへの工夫
多数派とは学び方が異なる LD当事者(Learning Difference)の工夫、学校での配慮を紹介します
発達/発育
保つ
マナーもゲーム感覚で
● 興味の持てないこと、意味が理解できないことに対してまったく取り組まない。
● 集中が続かず、すぐにあきてしまう。
● なぜ注意されているのか理解しにくいため、目が泳ぎパニックになってしまう。
● 注意された感覚だけはあるため「私はダメな子」と思ってしまう。
① ゲーム感覚で取り組める方法を考える
② 先生と共有する
③ 意味が理解できないことをしない
ハートマーク隠しゲームで卒園式を乗り切ろう!
幼稚園の卒園式の練習で、着席するときに手をひざの上に置いて座っていることができませんでした。
先生が手をひざの上に置くように伝えると、目が泳ぎ泣き出しそうになったと、担任の先生から相談を受けました。
娘はなぜ手をひざの上に置くのか意味を理解しておらず、注意をしても効果がないこと、卒園式に興味を持つことができそうになかったため、「手をひざの上に置く」ことに意識を向けさせることを目標にしました。
制服の半ズボンの裾にハートマークの刺しゅうをし【座っているときは、手でハートマークを隠すゲーム】として卒園式に臨みました。
当日は、娘の視界に入る場所に座り、そわそわしてきたときには、手でハートマークをつくって合図を送ると、うれしそうにハートを手で隠していました。
式のときに手をひざに置く意味がわからなくても、ハートマーク隠しゲームなら意味もわかり取り組めたこと、また、座っていたことをほめてもらえたことで、うれしい成功体験につながったと思います。
野口晃菜:一般社団法人UNIVA理事。
田中裕一:前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校 学校長。
一般社団法人UNIVA理事。小6でアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。
その後筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。
小学校講師を経て、株式会社LITALICO研究所長として、学校・少年院等との共同研究や連携などに取り組み、その後一般社団法人UNIVAの立ち上げに参画、理事に就任。
インクルージョン実現のために研究と実践と政策を結ぶのがライフワーク。
経産省産業構造審議会教育イノベーション小委員会委員、文科省新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議委員、日本LD学会国際委員など。
共著に『発達障害のある子どもと周囲の関係性を支援する』などがある。
田中裕一
前文部科学省特別支援教育調査官/兵庫県立山の学校学校長。
1970 年生まれ。兵庫教育大学大学院特別支援教育コーディネーターコース修了。
企業の社会人野球チームに所属した後、兵庫県内の知的障害者施設、県立特別支援学校(知的障害)に勤務。
2014年から文部科学省に勤務。文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官を歴任後、2020年、兵庫県教育委員会に戻り、特別支援教育課副課長。
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