失敗させない?自己肯定感を高めるコツ
世界初!?「子ども目線」による褒め方と叱り方のコツ
しつけ/育児
エラーレストレーニングのすすめ
失敗から学ぶなんてムリ!
最初からうまくやって褒められたい!
褒められる状態を用意する
大人が子どもをガミガミ叱りたくなるのは、多くの場合、大人が期待するレベルのことを子どもができていないときです。
たとえば園の朝の会で、床に座って先生の話を聞くのが難しい子が、集中できずに体を動かしたり、寝転んだりすることがあります。
このとき先生たちは、「集中してちゃんと話を聞いてください」と言ってしまいたくなるのですが、子どもにとってレベルが高すぎる要求ではないか、まず考える必要があります。
というのも「集中してちゃんと話を聞いてほしい」の内容を具体的に言うと、
「体を動かさずに、ピシッとした姿勢で座ったまま、話に耳を傾けて、話の内容を理解してほしい」
ということです。
しかし、子どもたちからすれば「あ〜あ〜今日も家でお母さんといたいな〜先生の話を聞くのってつらいよね〜」なのです(私たちも昔はそうだったはずです)。
また、集中して話を聞きたいという気持ちはあっても、体をうまく使えないので姿勢が保てない、という子も少なくありません。
そこで、床に座ってもらうのではなく、たとえば、あらかじめイスを準備しておきます。
イスは「ここに座ってね」というサインがわかりやすく、床に直接座るよりも体の姿勢を保ちやすいですから、話に集中しやすくなります。
するとこの瞬間、子どもを褒めることができるようになるのです。
「話をじっと聞けない子」から、「イスに座れば話を聞ける子」に変わり、「○○くんはお話が上手に聞けているね」と褒めることができます。
つまり、話を聞けない状態を指摘するのではなく、話を聞ける状態をつくって褒めてあげるわけです。
このように、ダメな行動を見たらすぐ指摘するのではなく、まず環境を整えて「褒められる行動」を引き出すことが重要なテクニックになります。注意して指摘されるよりも、いい行動を褒められたほうが行動は定着しやすくなります。
失敗させない学習、エラーレストレーニング
このような習慣は、「エラーレストレーニング」と呼ばれています。「失敗させないように学習させる」という意味です。
「トライ&エラーで学ぶ!」「失敗からこそ学べるんだよ!」という言葉が一般的には言われますが、失敗から学ぶというのはすでに成功体験を持っている人、自己肯定感が強い人ならではの考え方であり、誰にでも通用するわけではありません。
特に小さい子どもや障がいを持った子ども、自信がない子どもにとっては、「チャレンジしてどんどん失敗しよう」という言葉は、通用しないどころかプレッシャーとなってさらに恐れを招く可能性もあるので注意してください。
失敗やネガティブな経験・記憶を忘れることが苦手な子どもたちもたくさんいて、大人から見ればちょっとした失敗でも、本人にとってはとんでもない失敗として記憶している場合もあるのです。
私の印象では、一度でも失敗すると、次のチャレンジを嫌がる子のほうが圧倒的に多いです。
それは「根性がない」などの問題ではなく、本能的に身を守るために「リスクを避ける」行動をとっているからなのです。
ですから、初めてのチャレンジに対して失敗体験はなるべくさせないよう課題のハードルを下げ、成功させて、褒めて伸ばす方法をおすすめします。
たとえばズボンを自分ではけない子どもであれば、ひざ上あたりまでズボンを持っていってあげて、そこから自分ではいてもらいます。
すると、「ズボンをはく」という課題は成功します。
このように、課題のレベルを低くするのです。
自転車を例にとれば、いきなり自転車に乗せるのではなく、最初は補助輪をつけてあげる、またはランニングバイクから始めてもらうことでバランス感覚をつかんでもらってから自転車に移行していきます。
特に幼児期は、課題レベルを低くしてでも「チャレンジしたら成功した!」ということをたくさん経験させたほうがものごとの上達が早くなります。
そうして自信がついていったあとで初めて「失敗から学ぶ」ということができるようになるのです。
社会福祉法人みずものがたり理事・おへそグループ統括園長。公認心理師・保育士・幼稚園教諭・中学高等学校教諭
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