10代のうちに知っておきたい心の守り方!「あなたを守るための“絶対ルール”」
この本は、スクールカウンセラーとして 中高生の悩みと向き合ってきた著者が、 「あなたの心を守るための具体的な方法」をまとめた一冊です。 「友だちが急に冷たくなった」 「勉強のやる気が起きない」 「きょうだいと比べられる」… なぜそんなことが起きてしまうのか? どうしたら解決できるのか? 10代のときに抱えやすい 心のモヤモヤの正体を 一つひとつ紐解いていきます。 著者が実際に聞いてきた、 10代の世界がよくわかる 23人のショートストーリーも掲載。 ぜひ、保護者の方も一緒に読んでみてください。
学校
思春期を迎えた子どもの心のサインにどう寄り添うべきか。多感な時期特有の葛藤やプレッシャーを紐解き、家庭や学校でできるサポートの視点を提示。親子で一緒に読みたい心の処方箋です。
栗本 顕著書『10代のうちに知っておきたい心の守り方』から一部転載・編集してお届けいたします。
あなたを守るための“絶対ルール”
具体的な内容に入る前に、あなたと私の間で「約束」をしておきたいと思います。
これからお話しするのは、この本のあらゆる場面に共通する“絶対ルール”です。あなたが今抱えている悩みがどんな内容であれ、かならず最初に知っておいてほしいことをまとめました。
まずはこのルールを知ってもらい、あなたがあなた自身を守る「盾」として使ってもらいたいのです。
「ルール」というと堅苦しい感じがするかもしれません。
でも、そんなに構えないでください。
難しいことではありません。むしろ、「そんな当たり前のことを言われても……」と感じる内容もあると思います。
モヤモヤした感情やしんどい気持ちを抱えていると、当たり前のように思えることでも意識から抜け落ちてしまうことがあります。
だから私は、このルールを何度も繰り返し伝えるようにしています。
まずは、あなたの心を守るための最初の武器を手に入れるつもりで、この章を読み進めてみてください。
共通ルール1
信頼できる大人に相談する
もしあなたが「苦しさ」を感じているなら、一人で耐える必要はありません。
たとえば、クラスの雰囲気が悪い。
学校に行きたくない。
よく眠れない、食欲がないといった違和感もそうです。
うまく言葉にできなくても大丈夫。まわりの信頼できる大人に「なんだか苦しい」と伝えるだけでも、意味があります。
「怖い」「言いづらい」と感じるかもしれませんが、大人の力を借りることは決して弱さではなく、勇気のある行動です。
担任の先生や親に話しづらい場合は、顧問の先生や教科の先生、スクールカウンセラーなど、まずは話がしやすいと思える大人に相談してみてください。
もしかしたら、「相談したことがバレたら学校にいづらくなるかも……」と不安になるかもしれません。
そんなときは、最初に次の二つのことを伝えてみてください。
1.「まずは2人だけの秘密にしてほしい」と伝える
「だれにも言わないでほしい」「勝手に相手を注意したり、親に連絡したりしないで、まずは話を聞いてほしい」という希望を示します。
2.「これからの動きを一緒に考えてほしい」と頼む
あくまで一緒に考えたいのであって、動くのは待ってほしいと伝えます。
先生であろうと親であろうと、相談者であるあなたの許可なく動くことはNG行動です。
そもそも、相談したからといって、大人の指示に従わなければならないという決まりはありません。
相談したあと、次にどうするかを決める権利はあなたにあります。
この本の中でも触れていますが、大人はよかれと思って余計な行動をとってしまうことがあります。
最初に言葉で示しておくことで、あなた自身があとから「大丈夫かな……」と不安な気持ちになることを防げます。
共通ルール2
暴力を我慢しない
共通ルール1にも通じることですが、とても大事なことなのでルールの2つ目。
もしだれかから暴力を受けている場合は、決して我慢してはいけません。
あなたの安全と心の平穏が、なによりも大事。すぐに助けを求めてください。
ここでいう「暴力」には、身体的なものはもちろん、言葉による暴力(「気持ち悪い」「死ね」など)も含まれます。
だれかに直接話すことが難しいと感じるなら、紙に書いて渡す、ほかの人に頼んで解決できる大人に伝えてもらうなどの方法もあります。
この本の最後に、なにか困ったことがあったときに頼れる機関の情報をまとめておきました。
あなたの声は守られるべきものです。きっと力になってくれるはずですから、ぜひ活用してください。
共通ルール3
「安全な場」を複数持つ
中学生にとって、学校は日常生活の大半を過ごす場所になります。
でも、「過ごす時間が長い」というだけであって、学校があなたの人生のすべてではありません。
もっと細かく言えば、教室にいる時間が長いからといって、教室で過ごす時間を優先しなければならないというわけではないのです。
学校や教室にいるのがつらいときは、ほかに安心できる場を持っておくことも大切です。
自宅、図書室、部室、習いごと、地域の施設……などなど、「ここに敵はいない」と感じられる場があることは、安心感につながります。
ちなみに、「場」には「人」も含まれます。
家族でも、友だちでも、先生でもいいです。私のようなスクールカウンセラーという存在もいます。
「この人だったら気を遣わずに過ごせるな」
「この人と一緒にいるとホッとする」
そう思える人のそばにいることも、安全な場を持つことになります。
できれば、安全な場はいくつか持っておきましょう。
もし「Aさん」だけが安心できる場だったら、Aさんが学校を休んだり忙しかったりすると話を聞いてもらえません。でも、ほかに「図書室」という選択肢があれば、Aさんがいないときは図書室に行くことで心を保つことができますよね。そういう意味で、最低でも二つ以上あると安心です。
共通ルール4
自分を責めない
日常生活を送っていて、こんなふうに考えてしまったことはないでしょうか。
・まわりの期待に応えられず、申し訳ないと感じる
・みんなと同じようにできない自分を「ダメだ」と思ってしまう
・空気を読みすぎてムリをしている自分がイヤになる
自分を責め続けていると、あなたの心に『呪い』がかかってしまいます。
「自分が悪い」と思ってしまう『呪い』です。とくに、すでにやる気が出なかったり、いつもどおりに動けなくなったりすることがある場合は要注意です。
それは、決して「怠け」ではありません。あなたの体と心が出している「これ以上はムリだよ」という大切なサインです。
「今は休むときなんだな」と、まずは自分を受け入れてあげてください。
また、もしあなたが今、だれかから理不尽な扱いを受けたり、ムリな要求をされたりしているとしたら、これだけは覚えておいてください。
あなたは1ミリも悪くありません。
相手が同級生だろうと、大人だろうと、あなたの尊厳(自分を大切にする心)や安全を脅かす行為は、する側が100パーセント悪い。
要求に応じられなかったとしても、罪悪感を持つ必要は一切ないのです。
共通ルール5
モヤモヤは言葉や絵にする
気持ちが不安定になったときは、今の気持ちを言葉や絵にしてみることをおすすめします。
定番の方法をいくつか紹介していきますね。
☑ ノートに書く
いちばん簡単な方法は、ノートに書くこと。
うれしい、楽しい、イライラする、ムカつくなど、頭に浮かんだ言葉を思いつくままノートに書いてみてください。
このとき、一見関係なさそうなことも言葉にしていきます。
「最近寝てばっかりだな」「お腹すいたな」といったつぶやきが、解決のためのヒントになることがあります。
自分で自分に質問していくやり方もあります。
たとえば、次のようなことを自分自身に問いかけてみましょう。
・何が悲しかった?
・何が悔しかった?
・今、体のどこが重たい感じがする?
・本当はどうしたかった?
・わかってほしかったことは何?
・今の自分にどんな言葉をかけてあげたい?
・もし「色」でたとえるなら、何色のイメージ?
ノートはだれかに見せる必要はありません。
思い切って、正直に書いてみましょう。
書くことで、頭の中にあったモヤモヤが整理されて、少しずつ気持ちが落ち着いてくるはずです。
☑ 言葉を集める
「気持ちを言葉にする」って、言うのは簡単ですがとても難しいことです。
自分で思いつかない場合は、身のまわりから「共感できる言葉」を集めていくという方法もあります。
たとえばアニメやドラマ、マンガの登場人物が発したセリフで、「わかる!」と思えるものはないでしょうか?もし共感できるセリフが見つかったら、その言葉こそが、あなたが今求めている言葉です。
言葉を集めると、二つのいいことがあります。
一つは、「正体のわからないモヤモヤ」が小さくなること。
人は、わからないもの、あいまいなものほど不安を覚えます。今の気持ちを表す言葉が見つかると、心が少し軽くなります。
もう一つは、あなたの「お守り」が増えること。
集めた言葉たちは、元気がないときにあなたを支えてくれる“心の救急箱”になります。
宝探しをするように、心に響く言葉をストックしておきましょう。
☑ 絵にしてみる
文章にしたり、言葉で表現するのが苦手だという人は、心に浮かんでいることを絵にしてみるという方法もあります。
言葉を集めるときと同じように、今の自分の気持ちに合う絵を見つけて、マネしてみるのもいいと思います。
絵に自信がなくても大丈夫。うまいかどうかは関係ありません。
大切なことは、「気持ちを素直に表現すること」です。
共通ルール6
「しんどい」と感じるポイントを知っておく
日々を過ごす中で、「これが苦手だな」「すごくしんどいな」と感じる瞬間があるかもしれません。
実はその「しんどさ」は、あなたがあなたを助けるための「大切なデータ」になります。
「しんどい」と感じるのには、必ず理由があります。
たとえば、ザワザワした教室にいるだけでひどく疲れてしまうとしたら、それはあなたの聴覚がとても敏感だからかもしれません。
もしかしたら、人より観察力が優れていて、まわりの変化に気がつきやすい性質なのかもしれません。
このように、「しんどい」の裏側には、あなたの特性が隠れています。
「しんどい」と思うということはつまり、その状況はあなたにとって必要以上にエネルギーを消耗しやすい場面だということです。
苦手を知っておくと、自分が少しでも楽にいられる作戦を考えることができます。
ザワザワした場所にいるのがしんどいなら、「休み時間は人の少ない図書室で過ごそうかな」。
みんなと同じペースに合わせるのが苦手なら、「クラスの役割分担は一人でじっくり取り組めるものを選ぼう」といったように。
「自分はこういう場面でエネルギーを使いやすいんだな」と知っておくことは、あなたの心を守る武器になります。
共通ルールはあなたが「あなた」でいるための土台
改めてまとめてみます。
共通ルール1
信頼できる大人に相談する
共通ルール2
暴力を我慢しない
共通ルール3
「安全な場」を複数持つ
共通ルール4
自分を責めない
共通ルール5
モヤモヤは言葉や絵にする
共通ルール6
「しんどい」と感じるポイントを知っておく
この6つのルールは、あなたを守る「盾」です。
あなたが「あなた」を見失わないための土台になります。
もし、自分を責めてしまいそうになったり、心が折れそうになったりしたときは、またこの章に戻ってきてください。
最初にお伝えしたように、このルールは当たり前のようで意外と抜けがち。ときどき「絶対ルールを守れているかな?」と、自分に問いかけてみてくださいね。
それではいよいよ次章から、具体的なできごとについて考えていきたいと思います。
友だち、いじめ、勉強、自分のこと、そして家族……。
私のもとに実際に寄せられた中学生たちの声をもとに、さまざまな「しんどい」を23人分のショートストーリーにまとめました。
きっと、共感する部分があると思います。
彼らの心の動きを追いながら、あなたがあなた自身を救うために、どんなふうに考え、どう動いていけばいいのか、具体的な作戦を一緒に練っていきましょう。
公認心理師、いじめ撲滅委員会代表。いじめ不登校自殺防止コンサルタント会代表。メンタルヘルス総合サポート株式会社代表取締役。
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