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分娩誘発剤なんて使いたくない

妊娠・出産の疑問をどこよりもわかりやすく、丁寧に解説!

更新日:

遠藤 周一郎
産婦人科専門医、医学博士。Ameba公式トップブロガー。

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分娩誘発剤なんて使いたくない

出産:分娩誘発剤なんて使いたくない

「帝王切開なんてしたくない!」「分娩台でなんか産みたくない」「分娩誘発剤なんて使いたくない!」。

一時よりはブームが落ち着いたように思いますが、いわゆる自然なお産を目指す妊婦さんが、こぞって口にするのはこの3つのフレーズのように思えます。

「自然なお産」を目指す人々から嫌われている分娩誘発剤について、誤解がないようにレクチャーしますね。

分娩誘発剤に用いられる薬で、一般的に多く使われるのが「オキシトシン」というホルモン

オキシトシンは子宮の筋肉に作用して収縮を促すだけでなく、産後おっぱいを出す作用を持っていたり、最近では「愛情ホルモン」なんてカワイく呼ばれたりします。

さて、分娩誘発剤としてオキシトシンを使う時は、子宮を収縮させる目的で使用されます。

妊娠4週を過ぎると、赤ちゃんの状態が悪くなりやすいことがわかっているので、その前の週くらいに「計画分娩」を行う場合や、子宮の収縮が弱く、お産がなかなか進まない場合、破水してしまい、赤ちゃんが細菌に感染する前にお産にしたい時、さらに産後子宮の収縮が悪く出血が多くなってしまう時など、さまざまなケースでオキシトシンが使われています。

もともと体の中で作られるホルモンと同じものを補充するので、赤ちゃんや妊婦さん自身に悪影響があるわけではないのですが、投与量が多くなりすぎると子宮が収縮しすぎてしまう「過強陣痛」を引き起こしてしまうことも。

そのため分娩誘発剤を使う際は、数十分おきに使用量が適正か判断して、調整を行います。

このように産婦人科の世界ではとっても身近で、お世話になることが多い分娩誘発剤ですが、分娩誘発剤の世間のイメージはかなり悪く、この薬を使うと「自然なお産じゃない」(自然なお産の定義も難しいですが.....)とか、「医者が楽をするために、昼間の時間帯にお産させたいからだろう」とか、明らかにイヤそうな顔をする妊婦さんもなかにはいらっしゃいます。

分娩誘発剤の使い方・使う理由はさまざまですが、ほとんどは妊婦さんやおなかの赤ちゃんに余計なリスクをかけないために使用するということを覚えておいてください。

疑問に思ったら、なぜ必要なのか?何のために使うのか?説明をしっかり聞くようにしましょう。

※オキシトシン

子宮収縮剤としてとっても有名な薬剤。お産の時には「分娩誘発剤」として忌み嫌われるのに、産後は「愛情ホルモン」「幸せホルモン」「癒しホルモン」など、多数の通り名を持ち、現在さまざまな分野でもてはやされている。混乱してしまうかもしれないけど、全てひっくるめてオキシトシン。

遠藤先生の

伝えたいこと

▸分娩誘発剤は体内のホルモンと同じものを使用

▸使う目的は母子にストレスをかけないために

遠藤先生からひとこと
ちなみにオキシトシンは、産後の母乳産生にもかかわりがあり、子宮収縮を促す意味でも重要なホルモンなんですよ。
PROFILE

産婦人科専門医、医学博士。Ameba公式トップブロガー。

遠藤周一郎

「専門的な知識をとにかくわかりやすく!」をコンセプトに開設したブログが評判を呼び、2016年には産婦人科の知識をわかりやすくまとめた『妊娠・出産を安心して迎えるために産婦人科医きゅー先生の本当に伝えたいこと』(KADOKAWA)を出版。
小説家「藤ノ木優」としても活躍中。

「はじめてでもよくわかる 知っておきたい妊娠と出産安心BOOK」

著者名
遠藤 周一郎
出版社
 KADOKAWA

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